漆喰コラム
もしかして、アレルギー?
お部屋で起こる不快感の原因とは|納得!素晴らしき漆喰の世界-5
友人のお宅にお邪魔したら、急にくしゃみや、涙が止まらなくなってしまった…。
そんな経験はないでしょうか?
たかがくしゃみだと思いがちですが、その症状は、アレルギーかもしれません。
一般の住宅の中で引き起こされるアレルギーには、どのようなものがあるのでしょうか?
今回は、DIY子とともに、住宅内で引き起こされるアレルギーの原因や対策について、学んでいきましょう!
もくじ
意外と多い!“家の中”が原因となるアレルギー症状
アレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎、そして喘息。
よく聞くこれらのアレルギー疾患は、実は“家の中”の環境が関係する場合があると、知っていますか?
家の中にあるチリやゴミを食べて生きている害虫やカビなど、日常生活で見えにくいものが、アレルギーの原因になっているかもしれません。
東京アレルギー研究所所長の阪口雅弘先生は、住宅内でアレルギーを引き起こす3大原因に「ダニ」、「カビ」、「ペット」の3つを挙げています。
「家の中でのアレルギーの原因で多いのが、ダニ。次に、犬や猫、ハムスターなどのペットがもとになって症状が引き起こされることがあります。さらには、カビも油断はできません」と阪口先生。
アレルギーの原因になる物質を「アレルゲン」といいますが、詳しくいうと、ダニやペット、カビなどに含まれるタンパク質がアレルギー症状を引き起こすアレルゲンなのだそう。
アレルギーを予防したり、アレルギー症状を緩和するには、家の中からアレルゲンを減らすことが一番だといいます。
「ダニが原因のアレルギーであれば、寝具をできる限り洗うこと。布団やマットレスは簡単に洗えないので、シーツやカバーをこまめにお手入れすることが大切です」と阪口先生。
犬や猫などのペットの場合は、居住空間を分けるのも手です。
一緒に過ごすのはリビングまでとして、寝室にはペットを入れないなど、家庭内にペットが入らない空間をつくるのがおすすめです。
「ハムスターなど、小型の動物の場合は、ケージの上からかぶせるフィルターキャップを用いて、ケージの気密性を高めるとアレルギーの予防効果が高まります。
また、お世話をするのはアレルギー症状のない家族と決めておくのもよいでしょう」。
カビの場合は、換気や風通しをよくして湿気を抑え、ていねいに掃除をするのが鉄則。また、空気清浄機が役に立つかもしれません。
「カビの胞子は軽いので空中に長時間ただよっています。しかしラッキーなことに、空中をただよう胞子は、空気清浄機で吸い込むことができます。
逆に、ダニアレルゲン粒子の多くはカビの胞子にくらべ大きいので早く床に落ちてしまう。空気清浄機では除去しにくいかもしれません」と阪口先生。
季節で変わる、アレルギー症状
実は、ダニやカビは、温度と湿度の変化によってその生息数や発生数が変わります。
例えば、人間の皮膚を餌にするダニの場合は、湿度60%以上になると活動が活発になります。湿度の上昇により、ダニが増殖しやすくなるためですが、反対に湿度が低い時期は、ダニの活動が抑えられます。
また、一部のカビも、湿度が高くなると増殖する傾向があります。
日本の夏は、多くのダニやカビの好む条件が揃う季節といえるでしょう。
阪口先生の研究では、ダニのアレルゲン量は夏は冬に比べて10倍ほど増加することが分かっています。
「アレルゲン量の増加にしたがって、喘息の患者さんの症状が強くなるというデータもあります。梅雨から秋口にかけては、アレルギーを持つ方々にとって要注意の季節ですね」。
漆喰の調湿性が、アレルゲン量の増加をおさえる!
夏場の室内は、エアコンや除湿機によって湿度のコントロールが可能ですが、漆喰壁も1つの選択肢かもしれません。
漆喰には調湿性があるので、湿度が高くなることによって起こるダニやカビなどのアレルゲンの抑制に一定の効果が見込めます。
阪口先生は、“居住空間と健康”という視点は、これからの時代の大きなテーマだと話します。
「アレルギーの研究は進んでいるので、しっかり治療を受ければ日常生活のコントロールはできると思います。同時に、アレルゲンを生活の中で抑える仕組みを家が担えるようになれば、アレルギーのリスクは減っていくかもしれません」。
本日のまとめ
- 住宅内のダニ、カビ、ペットの存在は、アレルギーの原因になる場合がある
- ダニやカビは、湿度60%以上の環境で、活発に活動する傾向がある
- 調湿性能のある漆喰壁は、除湿機などと共にアレルゲンの発生を抑えてくれる可能性がある
この記事について教えてくれたのは…
東京アレルギー研究所 所長
阪口 雅弘 先生
農学博士。麻布大学名誉教授。東京大学農学研究科博士課程修了後、国立感染症研究所、理化学研究所を経て、2021年より東京アレルギー研究所所長に就任。長年、大学や研究機関で、アレルギーの原因となるアレルゲンの解析や、測定法の開発に従事。所長に就任した東京アレルギー研究所では、アレルギー症状の緩和、予防を目指しさまざまな提案を行っている。