漆喰コラム
納得!すばらしき漆喰の世界
もくじ
それで大丈夫?お部屋の湿気や結露対策
気づかぬうちに忍び寄る、お部屋の湿気…。
結露になって現れたり、カビに姿を変えたり、家屋にとっては好ましくないカタチになって現れることも少なくありません。
この連載では、より良い住宅を追求する主婦・DIY子が、おうちの難題と向き合いながら「理想の住みか」を探し求める様子をレポートします!
意外なところに潜む、お部屋の湿気
締め切った押入れやクローゼットの奥を久しぶりに見てみると、そこには、立派なカビたちが…!
そんな経験はないでしょうか?
大切な衣服が、湿り気を帯びていたり、カビで彩られていたとしたら、ショックですよね。
また、冬の時期は、窓辺の結露を拭き取るのが習慣!という方も。
家の中の湿気は、いったいどのような場所に発生しやすいのでしょうか?
浴室やキッチンは、入浴や料理で蒸気を発生させる機会が多いため、当然、湿気はたまりやすくなります。
こういった場所は、湿気によるカビの発生を危惧して、こまめに掃除をする方も多いでしょう。実際に掃除用品もこのような場所のカビ対策を念頭においた商品が多いのも事実です。
ですが問題は、閉じっぱなしの空間や窓辺など、お部屋の中でも、目立たない場所。地味な場所でもあるので、ついつい見落としてしまいがちですよね。
押入れやクローゼットは、空気が滞るため湿気やすく、窓辺は外気との温度差で結露が発生しやすい傾向があります。
これらの湿気は、家屋や住人にどのような影響を与えるのでしょうか?
「湿度が70%を超えると、カビやダニが増殖しやすくなります。
それらは人の気道から侵入し、ひどい場合は喘息やアレルギーを起こすことも」
と話すのは、近畿大学医学部の東先生。
逆に湿度が40%を切るなど、低すぎる場合は、インフルエンザをはじめとしたウィルス類が、長生きするというデータも。
まだ、研究途上ですが、新型コロナウィルスも同じような傾向を持つという意見もあるようです。
つまり、快適な住環境には、“ちょうどいい”湿度が必要なのです!
驚くべき漆喰の調湿性能
そんなおうちの湿気問題は、実は「壁」から見直すことで解決できます。
漆喰という伝統的な壁材には、周囲に存在する湿気を吸収したり、吐き出す効果があるといわれています。
東先生>「漆喰の表面は多孔質で、小さな穴がたくさん空いています。その穴に空気中の余分な水分が入り込み、湿気が吸収されていきます。逆に周囲の空気が乾燥してくると、吸収していた湿気を排出します。」
極端に湿度が高かったり、低かったり。環境のバランスを保ち、周囲の状況に合わせて、ちょうどいい塩梅に湿度を保ってくれるのが“漆喰”というわけです。
漆喰はどこに使うのが正解?
漆喰には、周囲の環境に合わせ、湿気を「吸い・放つ」という調湿性能があることがわかりました。
では、実際に住宅のどのような部分に漆喰を採用するのがよいのでしょうか?
漆喰は伝統的でシンプル、そしてさまざまな表情を演出できる壁材です。ですので、お部屋のいたるところに使用できる壁材ともいえます。
特に湿気や乾燥など、湿度が気になる場所には、局所的に使用するのもおすすめ。
住宅の建設時や、リノベーションの際に、空気が滞りやすくなることが想定できる場所や空間には、積極的に採用するのも1つのテクニックです。
東先生>「たとえば、鉄筋コンクリート造りの住宅は、コンクリートが冷えやすいこともあり、湿気や結露に悩まされやすい場合があります。でも、そういった住宅の内壁は漆喰にすると、良い形で調湿効果が得られるかもしれません。漆喰を使用することで、建材のポテンシャルを間接的に上げることもできるし、住み方や暮らしかたの範囲が広がるでしょう。」
本日のまとめ
- 湿気は空気の流れがないところや、室内と屋外の温度差が激しいところで生まれる
- 漆喰なら年間を通して湿度を調整してくれる
- 住宅の中に漆喰を使うことで、暮らしかたの幅が広がる可能性がある!
この記事について教えてくれたのは…
近畿大学医学部
環境医学・行動科学教室
東 賢一 准教授
大学卒業後、積水化学工業株式会社を経て、2007年に京都大学大学院工学研究科を修了。国立保健医療科学院や公益財団ルイ・パストゥール医学研究センターの客員研究員など。
専門は衛生・公衆衛生学、健康リスク評価学、疫学。人を取り巻く環境と、人の健康に対する影響を研究している。新型コロナウィルスと環境に関する研究も。